風俗誌と言えば、メジャーなところで『ヤンナイ』『ナイタイ』『シティプレス』『ナイトウォーカー』『マンゾク』、ちょっと穴場で『夜遊び隊』『ヤンマニ』『シティハーレム』、あとはもうなんだかわからない『スレイヴ通信』『聖水倶楽部』(これは風俗誌じゃねえか?)など、膨大な数がある。
私は実は、こういった風俗誌が大好きだったりする。
カワイイ女の子を眺めているのが好きなので、カメラマンの腕がいい、グラビアの綺麗な雑誌はもう舐めるように見る。毎月毎月、よくまあ飽きもせずやってんなと思う、えげつない肉色ページも笑えて良いね。
えげつない、で思い出した。ヤン○イ。いつかの巻頭特集で、まんこにネギだのサカナだのつっこんでいる企画があったが、あれはマズイだろう。あの撮影、危うく私も出るハメになるとこだったが、やめといてマジ助かったぜ。万が一受けていたとしても、そんな企画だとわかった時点でパンツはいて帰ってたがな。風俗嬢をなめんなよ。面白きゃいいってもんじゃないだろう。
サンマはいかんサンマは!
しかも生だ。
そしてそれをつっこんだまま笑顔を振りまく風俗嬢。君らも間違っている。食べ物で遊んじゃいけません。せめてきゅうりのバイブかイチゴのローターにしておきなさい。あの企画はほんと、店の女の子にも超不評だったぞ。
まあいい。過ぎたことは置いておこう(自分で持ち出しておいてな)。
風俗誌の楽しみ方として、最も面白いと私が勝手に考えているのは、SMクラブのコーナーで「……これはマズイだろ、おい」という女王様を探すことだ。
どういう意味でマズイかはあえて明記しないが、日暮里あたりの女王様は非常にヤバくて最高だ。また、ビジュアル的に面白いというだけでなく、「世の中にはいろんなマニアがいるんだな……私もまだまだいける」と、自分に自信が持てたりもするのだ。私に勇気をありがとう。
SMの女王様ってのは、キレイな人は本当に、感動的に綺麗なのだが、マニアックな人は衝撃的にマニアックだ(特に格闘技系)。
傾向としては、マニア向けのハードな店ほど、素晴らしく美しい女王様や、マニアックで人間離れした女王様が多く在籍しているようだ。両極端だが、どちらのタイプが在籍しているかは店のカラーによるだろう。
それと比較して、ソフトSMやプレイのいいかげんなSMクラブほど、特に目立ったところのない、中途半端な女王様が多い気がする。内容がいいかげんなんだから当たり前か。←いや、別にうちの店のことじゃないけどな。
そのかわりM女のレベルはソフトSM店の方が全体的に高いかもしれない。まあこれも、プレイの内容を考えたら当たり前かもしれない。イメクラ感覚で誰にでもできる分、カワイイ女の子が集まる率が高いということだろう。若くてキレイで可愛くて、針責めから食糞までこなせる真性M女が、そう滅多にいるとは思えない。
次なるお楽しみは、ソープのお姉さんの自分の過去10年分くらいをなかったことにしている潔い年齢のサバの読み方だ。
写真を見た後、プロフィールまできっちりチェックするのが私の常だが、
「お母さん……いくら何でもそりゃムチャだろう」
というのが毎回必ず3人はいて、私の心をなごませてくれる。どう見ても30代後半、ヘタすりゃ40いってそうなおばさまが、「22歳」とかトボけたことを言ってるのは、面白いのを通り越してなんだか痛々しかったりもするが。
でも、私も決して人のことは言えないんだよな。いや、私だけじゃなく、ほとんどの風俗嬢がそうだろう。
風俗嬢のプロフィール。あれは嘘です。いや、中にはホントのこと書いてる子もいるんだろうけど、8割は大ウソです。
だって当たり前じゃん。雑誌なんて誰に見られるかわかったもんじゃないのに、そんなとこでわざわざ本当のことなど書くわけがないだろう。年齢や出身地や誕生日など、大幅に誤魔化しておけば、万が一知人に見つかった場合でも「他人の空似」でなんとか言い逃れができるかもしれない。気休めにしかならないけども。
そしてこっちが本当の理由かもしれないが、「客受け」を考えて嘘をつくことも多い。
スリーサイズのプラスマイナス5センチくらいは当たり前。年齢も、24、5と書いてあった場合は、まず30前後と見て間違いない。実年齢が25だとしたら、22、3におさえておくはずだ。
また、25くらいになるとあえて「20歳」などと大きくサバを読んでおき、客の前では「ごめんなさーい。あたしホントは22なんですよう」と二段構えの嘘をつくこともある。私もやっていたが。この二段階サバ読み方式を採用すると、みんな確実に騙されてくれるのが楽しい。自分から年をバラすことによって(嘘なんだけど)「嘘のつけない、正直で素直な子」という評価が手軽に受けられるという、ステキな特典までついてくる。……これで何人騙したっけな。
とにかく、風俗嬢のプロフィールはほぼ当てにならないと考えていい。
風俗誌の撮影の時には、プロフィールを記入するための用紙を配られることが多い。編集の人に直接口頭で質問を受ける場合もあるが、ほとんどは各自、渡された用紙に自分で記入することになっている。
だが、それには「こんなこと聞いてどうすんだ?」といった質問が非常に多いのだ。
年齢・身長・体重・スリーサイズ・星座・血液型……このへんの個人データはまだいい。趣味・特技・初体験の年齢・その時の感想・初フェラの年齢・持っている下着の枚数……これもまだ許そう。
けど、「1000万円あったら何に使う?」なんて聞かれてもなあ。マジで知りたいのかそんなこと。くれんのか。1000万。
私の場合、そういう質問はたいていギャグに走るか「教えない」とか「仮定で物事は考えない」と真っ向勝負挑むかのどっちかだ。
今でこそ、そうやって「適当に受け流す」という技を覚えたが、初めての撮影の時は、「どこまでほんとのこと書けばいいんだ?」と本気で悩みながら書いていた。あの頃は若かったな。どの質問に対しても普通に答えてたら、店の人に「もっと男ウケするようなこと書かなきゃだめだよ」とか注意されちゃうし。
他の女の子にも「そーそー、これ読んだ人にすっごいスケベな女だって思わせないと、指名こないよー」とアドバイスされたので、参考までに他の人の用紙を覗いてみたら、「特技:フェラチオ☆」だの「趣味:オナニー」だの書かれており、当時まだウブかった私は本気で引いたものだった。
なるほど、そーいうもんなのか、と思って「男性経験」の欄に「30人」と精一杯の強がりをカマしてみたが、「少ないよー、あたし120人って書いたよ」と笑い飛ばされてしまった。……それはやりすぎでは。
このように、「好きなプレイは?」なんて項目に対して、
「んなもん何もねえよ。どーしよう。『楽なやつ』とは書けねえしなあ」
などと、みんな懸命にウソをひねり出しているのだ。
ただ、最近の私は、プロフィールにはほとんど本当のことを書くようにしている。嘘つくのたるいから。月に何度も撮影をしていると、いちいち嘘考えるのもめんどくさいんだよ。
くだらない質問はコケにするけど、「欲しいプレゼント: MOドライブ」とかな。趣味はインターネット、最近はまっているのはホームページ作り、特技はフェラチオ初段(俺認定)、取得免許は第二種性欲処理……って、ここに書いたからもう二度と書かないが。
最後に、もうひとつ暴露すると。風俗誌によくある企画で、「女の子の生パンティープレゼント!」とかいうやつ。あれもたいがい嘘です。
プレゼントも何も、送る気まったくないからな、雑誌の方では。ただ女の子はパンツ持って写真撮られているだけ。それも、手にしているパンツ自体、その子の物じゃなかったりする。
私も何度が参加させられたが、「今履いてるヤツ、脱がないと駄目っスか?」とイヤそーに聞いてみたら、「あー、いいよ別に。替えの下着持ってる? それ持ってくれればいいから。なければ誰かの借りてもいいし」と、とてもアバウトな答えを返された。そんなもんなのだ。
撮られながら、「これ、ほんとに応募してくる人なんているんですか?」と聞くと、「いるんだよねえ、これが。バカみたいに毎回ハガキ書いてくる奴が」とのコメント。
その話を聞き、不覚にもそいつが可哀相になってしまった私は、「私のでよければ、あげてもいいですけど」と、半分本気で言ってみた。が。
「うーん、送るのが手間だからな」
だそうです。